本牧でただ待つ

9月19日、三連休最終日。

ファミリーフィッシングの総本山、本牧海釣り施設に行ってみた。

俺のような一匹狼、自他共に認める無頼アングラーが、どういう理由で簡単お手軽、安心安全、コンビニエンス釣り場である海釣り施設などに足を運んだのか。
……俺もよくわからない。

まぁ近いし、意外と釣れるようだし、トイレも売店も完備、疲れたらクーラーの効いた休憩所で冷えたウーロン茶でも飲んで、腹が減ったら蕎麦でも手繰って、釣りたくなったら釣れば良いし、よく考えたら悪くないよなぁなどと。
一体どこが無頼アングラーなんだろうか。いや、荒くれ者の休日なんて意外とそんなものかもしれない。

ってことで、6時に家を出た。
今回は電車釣行。
荷物はこれだけ。

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やはりガルプスティックは、電車とかバイクで釣行するにあたっては大変便利ですね。
竿ケースの中には6ftのトラウト用パックロッドも入ってます。

朝一には間に合わないけれども、午前中にのんびり竿を出し、夕方ころまで釣る計画。
夕方にイナダが釣れちゃって、しかもクーラーボックスを持っていっていないから困ってしまい、隣の釣りガールにイナダを譲ったところ、お礼をしたいから連絡先を教えてくださいって言われるけど礼には及びません、それに嫁がやきもち焼きなもので(笑)と答える計画。

参ったなこりゃ、とニヤニヤしつつ横浜からバス。
30分ほどで釣り場に到着。
8時くらいだったから、家から2時間というところか。

バスを降りると釣り施設の入り口には入場待ちの列が。。。
係りの人に聞いたら、入場制限中だから列の後ろに並んでじっと待つがよろしいあるよ、とのこと(本当は生粋の日本人でした)。

釣りで入場待ちってのも珍妙であるな、まぁ20人程度の列、シャドウボクシングでもしていればすぐに入れるだろうと思っていたのは、考えが甘いというやつだ。

3時間待った。

果たして何かをこれほど待ったことが、僕の人生であっただろうか。
いや、はっきり言えるが、無い。あるものか。3時間だ。そのままバスで引き返し、家に帰って仮眠をとれる時間だ。

途中からもう、俺は何を待っているのかなどと考えることも無くなり、人生のこととか宇宙のこととか、神の存在とか運命のこととか、そんなことをぼんやり考えるようになった。しかもある程度わかってしまった。宇宙の真理に手が届きそうになった。3時間とはそれほどの時間だ。

とにかく11時、釣り施設に入れた。
特に嬉しいというような気持ちにもならず、淡々と900円を払い、一応釣り座確保に向かった。

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端的に言えば、もう釣りをする気持ちはほとんどなかったのだ。
今日の目的はこの施設に入ることだった、といつの間にか思うようになったのは、人間が精神の均衡を保つための自然の機能が働いたのかもしれない。

俺が3時間も待った理由は、どうせボンヤリするためのゆるい釣りなのだから、別にボンヤリ入場を待っていても大して変わらんか、他に移るほどのやる気もなし、という思いと、どうやら釣り仲間のS氏が朝一で中に入り、すでに釣りを始めているらしいからであった。

昼頃までに入ってS氏とのんびり竿を出し、釣れても釣れなくても良い、夕方になったら竿を畳んで帰るか。
そんな気の抜けた考えであった。

沖桟橋の中ほどでS氏と合流。
朝から竿を出しているが特に何も釣れていないという。

周りも芳しくないようだ。

釣れない時はがつがつせずに待つというのも大事。
夕方頃には魚が回ってくるだろうと考え、まずはアオイソメを餌に小物釣りを楽しむことにした。

それにしても渋い。
あたりもほとんど無い中、ようやくシロギスが1尾。

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残暑も厳しく、途中で休憩所に避難した。涼しくて快適。

小腹が減ったので蕎麦を食ったがあまり美味くなかった。カレーの方が良かったか。

さて、気を取り直して釣り再開。
周りの初心者のマナーの悪さに辟易しつつも、まぁファミリーフィッシングの総本山ですから、カリカリしても仕方が無い。
ただぼんやりと糸を垂らす。

と、15時頃、俄かに海面がざわついてきた。
イワシの群れだ。大群だ。

海が真っ黒、少し盛り上がっちゃうほどの大群。鳥も飛んでる。

いよいよ始まった。
仕掛けをサビキに替えると早速かかる。
カタクチイワシが釣れる、というか引っかかる。

イワシも良いが、この大群の下にはイワシを狙う大物がいるに違いない。半ば妄想、それでもやってみる価値はある。
イワシがついたサビキを、そのまま海底に落とし込んでみた。

すると、あるタナでイワシが暴れる。
おお、本で読んだとおりだ。ここに何かがいるに違い…… うわぁ。

いきなり竿先が海面に入る。
大物だ。

緩めのドラグが鳴りまくる。急いで絞めるが、サビキはアジ用のしょぼいやつなのでそれほど強引にもできない。

獲物はぐんぐんと走る。
何とか堪えるとピタッと止まる。

ん? ばれたか? と思って巻くとまた走る。

そんなことを3回ほど繰り返し、どうにか海面近くまで上げたが、そこで痛恨のバラシ。

S氏によると青物らしき姿だったとのこと。
ほんとにイナダが掛かっちゃったのかなぁ。

サビキを見ると針が全部切れていた。
おそらく獲物の体にサビキが絡み、やりとりの途中で順番に切れたのだろう。

切れた瞬間にテンションが緩んでバラしたと錯覚したのではなかろうか。

そんな解釈はどうでもよい。とにかく仕掛けを太くするしかない。

急いで仕掛けを換え、再度試みるもイワシの群れは遠のいてしまった。
ほんの10分間ほどだっただろう。

あのチャンスをものにしないといけないのだな。意外と奥が深い。

その後はイワシの群れは無かったものの、いくらか魚の活性は上がった。

サビキでタナを丹念に探ると大きなあたり。
ゴマサバが釣れた。

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S氏に差し上げた。

サバはかなり引くので楽しい。

台風の影響で風と波が強まり、17時頃撤収。施設自体も17時半に早仕舞いしたらしい。