テンヤ天国、船酔い地獄
船釣りというものをしたことが無かったのだ。
どうもあの、地に足がつかないと言うか、自分の自由につれない感じ、船の人の言うままに釣るようなところに魅力を感じず、しかも船代が結構高い。
だがしかし、今はやりのひとつテンヤってのには惹かれた。
ライトタックルにテンヤひとつ、エビを付けて海へ投入。
軽いテンヤ、細い糸から伝わる微弱な情報を頼りに着底を感知し、大きくしゃくる。
そしてまた、仕掛けを張らず弛まず、微妙なテンションを保ったまま送り込む。
そこで魚がエビを食う。
細いPEを伝ってダイレクトにアタリをとり、鬼合わせで掛ける。
掛かったら決してポンピングせず、一定のテンションで巻き上げる。
すると桃色の魚体がゆっくりと…
釣り番組によると、そいうことらしい。
うーむ、これは面白そうだ。
何より、ぼーっとしていては釣れないというのが良い。
しかもどことなく一本釣りっぽく、漁って感じがする。
そういうわけで10/30、ひとつテンヤで有名な大原は新幸丸さんに予約したら台風が来た。
ぎゃふん。
気を取り直して11/6、再度予約。
今回もS氏、Y氏と3人での釣行。
新幸丸の朝船は5時に出航する(10月までは4時半)。
千葉の船は他より早いらしいが、他を知らないからまぁ早いけどそんなもんかなぁという気がする。
金曜日の23時頃にS氏の車で東京を脱出。
深夜に大原に着き、船酔い予防のためにも少しは睡眠を取った方が良かろうということで、車の中で仮眠。
僕はわくわくして眠れなかった。
4時半、おおいに迷いつつ新幸丸の船宿に到着。
常連さんみたいな方々が集まっており、宿の中でお茶などを飲まれていた。
一見のんびりとした朝のティータイムだが、みんなこれから漁に出るとあって、どこか鋭くぎらぎらしたものを秘めている。
さて、港まで宿の車で送ってもらい、いざ乗船。
かっこいい船だった。
出船して大体30分くらい走っただろうか、最初のポイントに着いた。
船は結構揺れ、その時点で僕はもうグロッキーである。
酔い止めを飲んだのだがまだ効き始めていないようだ。
寝不足だし。
僕らは初心者なので、船長の息子さんに基本的な釣り方を教えてもらった。
さて、実釣。
テレビで見た通り、そして船長の息子に教わった通りに釣り始めるが、やはり底を取るのが難しい。
潮が速いのだ。
そんな中、S氏がまず真鯛を上げる。
続けてY氏も。
塩焼きにちょうど良いサイズだ。
そのとき僕は極度の船酔い状態であり「早く帰りたいなぁ」と思っていたのだが、そんなことを言ったら楽しい釣りが台無しである。
小さく「おぇぇおぇぇ」とえずきながらも、何とか釣りを続行。
ほどなく僕にも真鯛が釣れた。
25cmほどか、塩焼き、鯛飯なんかに良さそうだ。
とりあえず3人とも釣れたということで、まずは一安心。
安心しても船酔いは治らない。
酔い止めをもう一つのみ、キャビンで一休み。
キャビンに入るとおっさんがダウンしていた。
何だよ、俺が横になれないじゃないか、と思ったが、よく見てみると僕の隣で釣っていたおっさんであり、なるほど、道理で釣り座が広かったわけだ。
ともかくそれから2時間近く、キャビンで休んだりたまに竿を出したり。
そうこうしているうちに、突然気分が良くなった。
ようやく酔い止めが効いてきたらしい。
そこからはやけに上機嫌で竿を出し、集中力も復活したので底も取れるようになったし、細かいアタリも取れる。
従って魚が釣れる。
終わってみれば真鯛7尾にウマヅラ1尾。
最大は37cmほどの真鯛。800gくらいだろうか。
Y氏に真鯛1尾とウマヅラ1尾をもらったので、お土産は真鯛8尾、ウマヅラ2尾。
さてどうやって食おうか。
結局、真鯛は塩焼き、鯛飯、鯛しゃぶ、干物、味噌漬け、刺身。
ウマヅラは鍋、バター焼きにした。
鯛のあらで出汁をとり、それで作った煮麺がかなり美味かった。
なかなか楽しい釣りだった。
各季節に1回ずつくらいなら乗っても良いかなぁ。